ふるさと納税を使ってお得に返礼品をもらったと聞いたけど… そもそもふるさと納税って何?使うの難しい?
税理士が解説!ふるさと納税とは
2023.12.28

 ふるさと納税は、支払った金額が自治体への寄付金として所得税と住民税から控除され、一方でお礼として返礼品がもらえる制度です。

 ふるさと納税はポータルサイトで簡単に手続きができます。

 ふるさと納税の仕組みから申込方法、申告方法まで詳しく説明します。

 読み終わったら、すぐにふるさと納税を始められるはずです。







1 ふるさと納税とは

 ふるさと納税は、「生まれ育ったふるさとに貢献できる」、「自分の意思で応援したい自治体を選び貢献できる」制度として創設されました。これから、ふるさと納税の仕組み、申込方法、申告方法、控除の確認の流れで見ていきましょう。


1-1 ふるさと納税

 ふるさと納税は、生まれ育ったふるさと等に貢献できることはもちろん、支払った金額はその自治体への寄付金として所得税と住民税から控除されます。また、自治体のほとんどがその寄付金に対する返礼品を用意しており、お礼としてそれをもらえる制度です。

 つまり、支払った寄付金は、所得税と住民税の控除により本来支払うはずだった税金が減少し、それとは別に返礼品がもらえることになります。ただし、所得税と住民税の控除には限度があり、その試算はポータルサイトで行うことができます。

 なお、確定申告の対象期間(1~12月)に合わせて、12月末までの寄付金の支払いがその年の所得税、その翌年の住民税の控除の対象となります。


1-2 申込方法・寄付金の試算

 ふるさと納税の申込と試算はポータルサイトでできます。


  • 申込方法

 次のいずれかの手順で行います。


①通常(確定申告が必要)


 ポータルサイトで自治体(返礼品)を選ぶ
        ▼

 選んだ自治体で寄付金の使い道を選択し、ふるさと納税(寄付金の支払)を行う

        ▼

 寄附金控除を証する証明書の発行を受ける
        ▼     

 所得税または住民税の確定申告を行う


②ワンストップ特例(確定申告が不要)


 ポータルサイトで自治体(返礼品)を選ぶ

        ▼     

 選んだ自治体で寄付金の使い道・ワンストップ特例を選択し、ふるさと納税(寄付金支出)を行う

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 ワンストップ特例の申請を行う(通常は郵送で手続き、自治体によってはオンライン手続きが可能)


 なお、ワンストップ特例は「確定申告をしない」「自治体の数が5団体以内である」場合のみ利用できます。


  • 寄付金の試算

限度額

図1-1 限度額

 「(住民税×20%)/(90%△所得税率)+2,000」円、これは税額控除が最大限利用できる寄付金の限度の計算式です。と、言われても実際に計算するのは難しいところです。このため寄付金の試算は各ポータルサイトで用意されています。ふるさと納税を行う前に下記リンク先で試算をしてみましょう。


1-3 申告方法

 ワンストップ特例を適用しない場合、またワンストップ特例を適用したものの申告が必要な場合には、次のいずれかの方法で寄付金控除の適用を受けます。


  • 電子申告

 仮にふるさと納税を○○市に60,000円、××市に40,000円した場合には、図のように記載して申告します。入力後に確認しましょう。

申告書の記載

図1-2 申告書の記載

①ふるさと納税の金額の合計から2,000円を差し引いた金額(所得税)
②ふるさと納税の自治体名と金額の合計(所得税)
③ふるさと納税の金額の合計(住民税)

 電子申告の場合は、寄附金控除を証する証明書の添付が不要となりますので、間違えないように記載しましょう。また、寄附金控除を証する証明書はポータルサイトからXML形式ファイルで取得し、申告データに取り込むこともできます。自治体が多い場合には申告が楽になります。関与税理士にお願いしている場合にはXML形式ファイルを渡すと負担が減り喜ばれると思います。


  • 紙で出力して申告

 記載は電子申告と同じです。ただし、全ての寄附金控除を証する証明書、または年間寄附額を記載した寄附金控除に関する証明書の添付が必要となります。


1-4 控除の確認

 寄付金控除は所得税と翌年の住民税、または翌年の住民税のみで行われます。ふるさと納税の寄付金額から2,000円を差し引いた金額が控除されているはずです。確認していきましょう。


①所得税と住民税

 所得税の控除金額は申告書に表示されません。図1-3のいずれかの青囲みの所得金額を図1-4の税率表に当てはめます。所得金額に税率を掛けた金額が所得税の控除分になります。

所得税の控除

図1-3 所得税の控除

所得税率表

図1-4 所得税率表

 住民税の控除金額はすぐにわかります。図1-5の青囲みがその金額です。

住民税の控除(例:世田谷区)

図1-5 住民税の控除(例:世田谷区)

 限度額の試算どおりにふるさと納税を行っていればこの2つを合わせた金額と一致するはずです。

②住民税(ワンストップ特例または住民税の申告のみ)

 図1-5の青囲みの金額が一致するか確認してみましょう。


2 ふるさと納税のポータルサイト

 ふるさと納税のポータルサイトは複数存在します。その中で代表的なポータルサイトを紹介します。

楽天ふるさと納税

 楽天ポイントが貯まる・使える、返礼品の品揃えが豊富

さとふる

 寄付金の使い道を応援団という制度で選べる、返礼品の品揃えが豊富

ふるさとチョイス

 寄付額のシェアで国内最大、返礼品の品揃えが豊富

ふるなび

 返礼品の「お得度」をランキング形式で表示、独自のコンテンツが充実


3 注意点

 ふるさと納税は際限なく行って返礼品だけを受け取ることはできません。返礼品の時価が50万円を超えた場合には一時所得として申告が必要になります。いくらまでなら一時所得にならないか。正直、返礼品の時価を推定するのは難しいです。

 そこで、返礼品は寄付金額の3割以下とする要件が存在するため、寄付金額は160万円(160万×3割=48万円)を目安にしましょう。超えるようでしたら一時所得に該当し、申告の必要性を検討してください。


4 まとめ

 今回は「ふるさと納税」について書き出してみました。

 「ふるさと納税」は、生まれ育ったふるさと等に貢献できることはもちろん、支払った金額はその自治体への寄付金として所得税と住民税から控除され、お礼として返礼品がもらえる制度であることがわかりました。ぜひ活用してみてください。


 最後までお読み頂き有難う御座いました!

 複雑怪奇な税制をわかりやすく説明し、また適切な制度の提案を行う。そしてお客様には安心して納税をしていただく。そのような想いを持って日々の業務を行っております。税金や制度について相談したいことが御座いましたらお気軽にお問合せくださいませ。